現在、日本は外国人の労働者の受け入れに大きく舵を切り、市役所の窓口では外国籍の住民とのやり取りが増えました。
「窓口に外国人が来ると、どうしても身構えてしまう。」「一生懸命に説明をしているが、理解してもらっているのかよくわからない」
などと感じている職員の方も多いようです。
今回、こんな悩みを抱える長浜市の職員の方々にむけて、外国人とのコミュニケーションスキルとしてのやさしい日本語講座を
行いました。約2時間の講座です。
一般社団法人チームやさしい日本語からは、講師として老邑敬子、シスタントとして松村文子、福田一也が参加しました。
1月19日 市役所の会議室に集まったのは、昨年4月に入庁した長浜市役所の新人職員35人の皆さん。
言い換え、書き換えを参加者間でシェアするために全員がラップトップパソコンを抱えての参加です。
市役所ではペーパーレス化を進めているとのことで、事前配布の資料の確認やレジュメの記入なども、
PC上で行っておられました。
長浜市様は、毎年、市民や職員のためのやさしい日本語の講座を開催されていますが、
今年は、より実践的に、成果物を残したいという希望をお持ちでした。
前半はやさしい日本語の成り立ち、長浜市の外国人事情、言い換え、書き換えのコツなどを約50分で説明。
簡単な言い換えの練習時間も少しだけ取りました。
後半は8チームに分かれ、市の税金の納付書、赤ちゃんを生んだ人の産後ケア事業の申し込み案内、
自治会への参加を呼びかけるチラシ、ノロウィルス注意報など、
実際に市で使用されている4つの書面を30分で、やさしい日本語に書き換えるワークショップです。
そして、この書き換えられた文章をデータとして残し、職員の皆さんが利用できるようにするのが目標です。
役所の文書は、外国人はもとより、私たち日本人でもすこし分かりにくい硬い文章で書かれることが多く、
限られた時間でこれらをやさしい日本語に変換することができるのか、私たち担当者もドキドキ、ハラハラしながら
指導させていただきました。
しかし、すぐにそれが杞憂であることが分かり、気持ちはワクワク、ニコニコへと変わっていきます。
参加者の皆さんは、若く柔軟な脳で次々とアイディアを交換し、講師も舌を巻くような言い換えを考えてくださったからです。
例えば、自治会の案内文に「道路の除排雪」という表現が出てきます。
私たちが解答例を考えた際「雪をどけます」 という言い方が良いかどうか悩んだのですが、
職員の方は「雪をなくします。雪をそうじします。道を安全にします」と言い換えられました。
伝わりやすく外国人住民に寄り添った表現だと感じました。
それぞれのテーマの書き換えをパワーポイントに落とし込み、スライドで共有しながら、
講師がフィードバックする形を取りましたが、30分という短い時間で書き換えたとは思えない完成度の高いものばかりでした。
すべての文書のフィードバックが終了したときには、会議室は達成感に包まれました。
今回の講座を担当し、外国人住民と日本人がコミュニケーションし、尊重し合う姿勢が長浜市に育っていることを強く感じました。
(記:老邑)
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